行政書士の退職物語 NO.19   ~精神的に疲弊して退職代行を考えているあなたへ”ちょっと待って!「休職」という選択肢も考えてみませんか?”

精神的に疲弊して退職代行を考えているあなたへ”ちょっと待って!「休職」という選択肢も考えてみませんか?  ホーム

「もう、一刻も早くこの会社を辞めたい!」

退職代行サービスを検討されている方の多くは、そう切実に願っていることと思います。業界最大手のYouTubeチャンネルでも、精神的なダメージを受けている方が退職代行を依頼するケースが多いと報じられていましたね。無事に退職できたという話を聞くと安心しますが、一方で心に引っかかる疑問も浮かび上がってきます。

精神的に追い詰められている方は、その会社への拒否反応が非常に強く、「即日退職」を望む気持ちも痛いほど理解できます。しかし、本当にそれで大丈夫でしょうか?

退職後に待ち受ける「ハードな現実」

退職後すぐに再就職できるメンタルが残っている方は、正直少ないのではないでしょうか。多くの方が、とりあえず失業保険で収入を賄うことを考えているかもしれません。

しかし、会社を辞めると同時に健康保険は脱退となり、すぐに国民健康保険への切り替え手続きが必要です。さらに、厚生年金から国民年金へ切り替わるため、その費用も自分で準備しなければなりません。

つまり、会社を辞めた瞬間から、今まで会社が手続きしてくれていた社会保険の手続きや費用の負担という「ハードな現実」が、容赦なくあなたを待ち受けているのです。精神的に疲弊している中で、これらをすべて自分で処理していくのは、想像以上に大きな負担となる可能性があります。

即日会社に行かなくて済む、もう一つの方法:休職のススメ

実は、会社に行かなくて済む方法は退職だけではありません。「休職」という選択肢も、ぜひ検討していただきたいのです。

精神的な不調による休職の場合、健康保険の「傷病手当金」を受給することができます。傷病手当金は、病気やケガで会社を休み、給与が支払われない場合に、最長で1年6ヶ月間、収入の心配をせずに療養に専念できる非常に心強い制度です。

まずは心身を落ち着かせ、回復に専念する期間を設けることで、冷静に今後の身の振り方を考えることができます。焦って再就職先を探す必要もなく、本当に自分に合ったキャリアプランをじっくりと練る時間を得られるのです。

休職の申し出と傷病手当金の請求は拒否できない!

「会社が休職を認めてくれないのでは?」と心配される方もいるかもしれません。しかし、正当な理由(医師の診断書など)があれば、会社は休職の申し出や傷病手当金の請求を拒否することはできません。

もし会社が応じない場合は、内容証明郵便で休職の申し出と傷病手当金の請求を行った事実を明確に残しておきましょう。万が一、会社が不当に拒否するようなことがあれば、その事実を粛々と行政(労働基準監督署など)に申告することができます。
そして、もちろん内容証明の作成を専門の士業に依頼することができます。

どこに相談すれば良いの?

傷病手当金の手続きや休職に関する相談先は、いくつかあります。

  • 大手企業にお勤めの方:自社で健康保険組合を運営している場合が多いです。健康保険組合は会社とは別の組織ですので、安心して相談できるはずです。
  • 大手でない企業にお勤めの方:全国健康保険協会(協会けんぽ)の支部が各都道府県にあります。そこで相談に乗ってもらえます。
  • 専門家へ相談したい方:各都道府県には社会保険労務士会があり、そこで無料相談を実施していることもあります。社会保険や労働問題の専門家である社会保険労務士に相談することで、具体的なアドバイスを得られるでしょう。

会社員であるということは、健康保険に加入しているという大きなメリットを享受しているということです。精神的なダメージを受けている時こそ、このメリットを最大限に活用し、心と体を回復させる期間を設けることを真剣に考えてみてください。

退職代行を依頼する前に、一度立ち止まって「休職」という選択肢についても、じっくり検討してみませんか?あなたの未来が、より良いものになることを心から願っています。
ホーム

コメント

タイトルとURLをコピーしました