行政書士の退職物語 NO.17   ~退職代行の未来:ブームの先に士業が担う役割とは?~     

退職代行の未来:ブームの先に士業が担う役割とは?

最近よく耳にする「退職代行」というサービス。あたかも突如として現れたかのように感じる方もいるかもしれませんが、私はこのサービスが「急に芽生えた」わけではないと考えています。ホーム

退職代行はなぜ生まれたのか?

そもそも、退職時の法務サービスに対する需要は以前から存在していたと考えています。しかし、弁護士に依頼すると金額的に折り合いがつかず、そのニーズが満たされない「空白」が生じていたのです。この空白に目をつけたのが、無資格ながらも低価格でサービスを提供し始めた業者たち。これが、今の退職代行サービスの起源だと私は見ています。

本来であれば、関連する士業(弁護士、社会保険労務士、行政書士など)がこの役割を担うべきだったのかもしれません。しかし、彼らがそのニーズに気づく前に、無資格業者が参入し、現在の状況が生まれたのです。

自由競争と法治国家のバランス

私は、この現状が決して問題だとは思いません。日本は自由競争の国ですから、才覚のある者がどんどん新しい分野に進出するのは素晴らしいことです。現在の退職代行ブームが今後も続いたとしても、何ら問題はないでしょう。

ただし、忘れてはならないのは、日本は「法治国家」であるということです。法律はもちろんのこと、それに付随する倫理も遵守される必要があります。士業は法律によって業務の独占を許されていますが、同時に厳しい倫理規定に縛られています。例えば、行政書士には「行政書士倫理」というものがあり、その第10条には「行政書士は、不当な目的を意図し、又は品位を損なうおそれのある広告宣伝を行ってはならない」と明記されています。これは、大音響で宣伝したり、業務状況をネットに上げて依頼者を誘い込んだりしてはならない、ということを意味します。依頼者には冷静な判断でサービスを選んでもらわなければならないのです。

現状の退職代行業者の宣伝の中には、士業の目から見れば「やりすぎ」と感じる内容も見受けられます。しかし、行政が特に何も言及していない現状では、それを良しとしましょう。

ブームのその先へ:士業が埋める「空白」

現在の退職代行ブームはいずれ落ち着き、業者数が減少する可能性も十分に考えられます。業界大手でさえ、「退職代行が不要になるのが理想的な労働環境だ」と語っているほどです。

しかし、ブームが去ろうがどうなろうが、士業にとっては関係のないことです。なぜなら、今回のブームで「退職に関するサポートが必要な人がいる」ということが明確になったからです。仮に今の退職代行業者がすべて撤退したとしても、その空いた穴は必ず士業が埋めるでしょう。

弁護士、社会保険労務士、行政書士といった既存の士業が、これまで培ってきた専門知識と倫理観をもって、退職に関するあらゆる依頼者の要望に応えてみせるはずです。退職代行の未来は、士業がその専門性を発揮し、真に依頼者に寄り添ったサービスを提供することで、より盤石なものになると確信しています。
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