皆さん、こんにちは。今回、退職代行の今後のあり方について、少しばかり考察をしてみました。 ホーム
長年サラリーマンとして生きてきた私の実感として、退職というのは、単に会社を辞めるというだけでなく、法的な手続きを含む立派な「法律行為」なんですよね。
本来であれば、法律の専門家である弁護士が、そうした退職の手続きをサポートするのが筋だと思うんです。もし退職で困っている人がいたら、気軽に弁護士に相談できる。それが当たり前の社会であってほしいと、私は常々思っています。
なぜ今まで弁護士による退職サポートは一般的でなかったのか?
私が社会に出たのは昭和59年(1984年)。それから昨年まで、本当に長い間サラリーマン生活を送ってきました。最初の会社を定年退職した後も、2社ほど非正規雇用を経験しています。だから、会社員の気持ちは痛いほどよく分かります。退職を決意するまでの葛藤や、言い出しにくい気持ち、親切にしてくれた会社への申し訳なさ…
逆に、部下から退職を切り出される側の気持ちも、経験があるので分かります。もちろん、 一旦は引き留めますよ!それが礼儀ですからね。でも、正直なところ、心が離れてしまった人を無理に引き留めても仕方がないと思っていました。「辞めたいなら、どうぞ。次の会社で頑張ってね」というのが、私の本音でした。
だから、しつこく引き留める会社の気が知れません。気持ちがもうない人に、何を未練たらしく言うことがあるのでしょうか?
そんなわけで、私は完全に労働者の味方でありたいと思っています。退職は労働者の正当な権利であり、国も法律でそれを保障しているんですから。
退職代行サービスの利用はアリ! ただし手段は慎重に
退職に際して、労働者が退職代行を利用すること自体は、私は全然構わないと思っています。自分の権利を実現するための、一つの有効な手段だと考えるからです。
ただ、問題は「その手段が適切かどうか」という点です。退職しようとする労働者も、もう大人なんですから、自分の行動には責任を持つ必要があります。もし不適切な業者を選んでしまったら、会社から何らかの反撃を受けるのは当然のこと。そこだけは十分に注意してほしいと思います。
そう考えると、最も正当な手段は、やはり弁護士に依頼することでしょう(労働組合という選択肢もありますが、少し変化球のような印象を受けます)
しかし、弁護士に依頼するというのは、どうしても敷居が高いと感じる人が多いのも事実です。実際に弁護士に依頼した経験のある人なら分かると思いますが、弁護士は頼りになる用心棒のような存在なんですよ。でも、退職が人生で初めての「法律案件」となる人にとっては、弁護士という選択肢はなかなか思い浮かばないと思います。
弁護士が退職代行に参入する未来は来るか?
国が弁護士の数を増やそうと司法制度改革を始めてから、もう20年が経つんですね。狙い通り弁護士の数は増えましたが、残念ながら、国民にとって弁護士が身近な存在になったとは言いがたい状況です。依然として、多くの弁護士は大きな仕事の獲得に力を注いでいるように見受けられます。
もしここで、弁護士が方針を転換し、退職代行のような比較的小さな案件にも積極的に関わるようになったらどうでしょうか?
弁護士法があるため、弁護士は法律事務を自分でやらなければなりません。事務員(パラリーガル)に丸投げすることは許されないのです。だからこそ、弁護士は限られた時間を、できるだけ生産性の高い業務に割り振りたいと考えるのは当然でしょう。
しかし、「退職」というケースに目を向けてみるとどうでしょうか?
多くの場合、退職の意思を会社に伝えれば、あとは事務的な手続きだけです。内容証明郵便を1通送るだけで済むことがほとんどだと思います。内容証明は、弁護士が得意とする通知方法であり、書き慣れているはずですから。
そして、その内容証明の下書きであれば、パラリーガルでも作成可能です。弁護士が最終チェックをして、パラリーガルに発送を指示すれば済む話です。
この方法を使えば、一般の退職代行業者が設定しているような料金で、弁護士が退職代行サービスを提供することも十分に可能になるのではないでしょうか。
もし、弁護士が作成した内容証明に対して会社が納得しない場合は、そこから弁護士が本格的に交渉に乗り出せば良いのです。その際の料金は、弁護士の労力に応じて多少高額になるかもしれませんが、それは仕方ありません。弁護士の内容証明に文句を言うような会社であれば、もはや立派な法律事件に「格上げ」ですから。
まとめ:弁護士による安心・安全な退職サポートの実現へ
つまり、日本の法律が本来想定しているであろう方法、つまり弁護士がもっと低価格で退職事務に参入していくことこそが、この業界の健全な未来像なのではないかと私は考えています。
一般の退職代行業者の皆さんには、これからも知恵を絞って、弁護士には手が届かないようなニッチなニーズに応え、生き残る道を探ってほしいと願っています。
退職は、新しいスタートを切るための大切な一歩です。誰もが安心して、そしてスムーズにその一歩を踏み出せる社会になることを、私は心から願っています。
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