近年、退職代行サービスの利用が増えていますが、「高いお金を払って結局自分で退職届を書くことになるのでは?」という疑問を持つ方が多くなると思います。
なぜなら、一般企業の提供する退職代行サービスは、これからは弁護士法違反に厳しくなるので ”退職の意思を伝える” 以上の法的な行動ができなくなり、最終的に依頼者自身で退職届の作成・郵送などを促すようになるからです。
それなら、最初から自分でやれば良いのです!
この記事では、業者を介さず、ご自身の力だけで、簡単かつ確実に会社を辞めるための手順を解説します。
なぜ会社は退職を認めないのか?
自分で退職を伝えても会社が引き留めるのは、”まだ引き留めが可能だ” ”本気ではないだろう” という甘い期待があるからです。
この会社の甘い期待を断ち切り、退職の意思を法的にも明確に通知することが、スムーズな退職への近道です。
そのために最適なのが、退職届を「内容証明郵便」で「配達証明付き」で会社に送付する方法です。これは、弁護士による退職代行でも一般的に取り入れられている、効率的で強力な手段です。
ステップ1:内容証明郵便で退職届を送付する
1.内容証明郵便とは?
内容証明郵便とは、「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容の文書」を送ったかを郵便局が証明してくれるサービスです。配達証明を付けることで、”いつ会社に到着したか” も証明できます。
これにより、
- 内容証明を送った日付
- 内容証明が会社に到着した日付
- 送付した文章の正確な内容
が公的に証明され、後から会社が ”聞いていない” ”届いていない” と主張することができなくなります。
2.正社員は「通知」だけで退職が成立する
正社員(期間の定めのない雇用契約)の場合、民法に基づき、退職の意思を会社に伝えただけで退職は成立します(通常は退職の意思を通知した日から2週間で雇用契約が終了します)。
会社の同意は不要です。この内容証明郵便の送付作業が完了した時点で、法的には退職が確定することになります。
⚠️ 【注意】 有期雇用契約(契約社員など)の場合は、原則として契約期間満了までの退職には会社の同意が必要、またはやむを得ない事由が必要です。この手順だけでは退職が成立しません。
3.内容証明の作成・送付方法
〔郵便局の窓口〕
作成した文書を郵便局に持参して手続きをします。
〔電子内容証明(e内容証明)〕
パソコンがあれば、自宅にいながら全ての手続きを完結できます。手軽でおすすめです。
ステップ2:退職後の必要書類の発行を確実にする
会社との契約は終了しても、以下の書類は新しい生活で必要不可欠です。
- 離職票
- 健康保険資格喪失証明書
- 源泉徴収票
- 雇用保険被保険者証
- 基礎年金番号通知書
これらの書類の発行を確実にするために、送付する退職届の内容証明に、”退職証明書の請求” を仕込んでおきましょう。
退職証明書を請求するメリット
労働基準法により、退職した労働者が請求した場合、会社は「退職証明書」を発行する義務があります。これを怠ると、労働基準法違反となり罰金刑(30万円以下)の対象となります。
〔退職の確定〕
会社が退職証明書を発行したということは、”退職を認めた” という確固たる証拠になります。
〔役所での手続きがスムーズに〕
万が一、会社が上記1〜5の書類を発行してくれない場合、退職証明書をハローワーク、税務署、年金事務所などに持っていくことで、役所側で手続きを進めてもらいやすくなります。役所は手続きが滞ることを嫌いますし、本来会社に発行義務のある書類です。
公的な証明書があれば役所が対応しやすくなります。
労基署への申告が容易に:
もし会社が退職証明書の発行すら拒否した場合、退職届の内容証明(発行依頼をした証拠)を持って労働基準監督署に行きましょう。
発行義務のある書類を発行しないのは即座に法令違反です。労基署から会社に指導が入り、退職証明書が発行されることになります。
退職証明書があれば、いちいちご自身で退職した経緯を説明する手間がなくなり、スムーズに各種手続きを進められるため、必ず退職届とセットで請求しましょう。
行政書士への代書依頼も検討しよう
”内容証明の書き方が不安””自分で文章を作るのは面倒” という方は、行政書士に内容証明文書の代書(代筆)を依頼する手もあります。
ご自身で手続きを進める自信がない場合は、行政書士に依頼して確実な文章を作成してもらうのも一つの方法です。
退職代行サービスは便利ですが、自分で手続きをしても、内容証明郵便という強力な手段を使えば、確実に会社を辞めることができます。
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